ブランドジュリエ Paris通信 2022年スタート
パリの縁日博物館で2022年をスタート 2022年のスタートを、皆さまはどのように祝われましたか? 私はパリ観光局のエロディさんに誘われて、Musée des Arts Forains ミュゼ・デザール・フォレン、縁日博物館へ行きました。 1月1日は、フランスでも祭日です。お店や美術館はお休みするところがほとんどですが、ここ縁日博物館は1月1日も休まず営業しています。縁日の博物館でお正月なんて、とても縁起がいい気がします。 縁日博物館は、パリ12区のベルシーと呼ばれるエリアにあります。歴史的建造物のワイン倉庫群をショッピングセンターにした「ベルシー・ヴィラージュ」をご存知の方もいらっしゃるかも知れません。でもそのほかには、ベルシー駅と経済・財務省のビルがあるくらいで、外国人観光客がわざわざ足を運ぶ見ものはあまりありません。 そのせいかどうかはわかりませんが、縁日博物館のことを私はずっと知らずにいました。 でも到着して思い出しました、以前前を通りかかった時に「なんだこれは?!」とびっくりしたことを。外壁に石膏の頭がいくつも並ぶ不思議な館が現れて、度肝を抜かれたのです。 「ここは骨董蒐集家のジャンポール・ファヴァンさんが、1996年に開業した個人経営の美術館です。彼は70年代、ルーブル美術館向かいのアーケードに、骨董商が集まるルーブル・デ・ザンティケールを立ち上げた人物。縁日装飾と舞台芸術の蒐集は、彼のパッションなんですよ」 と、エロディさん。 エロディさんはファヴァンさんインタビューしたことがあり(なんと彼の自宅で!)、蒐集品の倉庫を美術館として公開することにした、という経緯も教えてくれました。 4つの会場と庭からなる広い敷地に、19世紀と20世紀の蒐集品が展示されています。蒐集品も会場も、イベントや撮影に貸し出すそうで、なんとウッディ・アレンの映画「ミッドナイト・イン・パリ」も、ここで撮影されたそう。 中に一歩足を踏み入れると、フランス世紀末、狂乱の時代へタイムスリップ! ベルエポックといえばレヴュー。レヴューの衣装も、当時の本物がたくさん!全て貸出可能だそうです。ジョセフィン・ベーカーが使った赤い羽根飾りは6kg。これを被って、歌って踊る。華やかな世界の常として、その影には想像もできない努力があるのでした・・・ お土産コーナーもとてもいい感じ。ブリキのおもちゃやポスター、マッチなど、レトロな品々が並んでいました。これを買うためだけにでも、来る価値があると思ったほど魅力的な品揃え。しかもお値打ち価格でしたよ。) マジック・ミロワールは、1924年の移動ダンスホール。ベルギー製の木造建築で、解体して組み立て直すことができ、街から街へと移動してその土地のお祭りを盛り上げたのだそうです。20年代といえば、憧れのアール・デコ。内装はグレート・ギャッツビーの世界そのものです。当時の自動ピアノも現役で、実際に音楽を奏でていました。誰もが自由に参加できるダンスタイムもあり、本当に、タイムスリップです。 他にも、インスタ映えスポットがいくつもありました。 「おじいちゃん、おばあちゃんにとっては、懐かしい縁日の思い出をもう一度体験できる場所。私たちにとっては映画や本で見たパリを体験できる場所です。通常は週に2回だけ見学可能ですが、クリスマス休暇の間は毎日営業していて出し物も多いので、この時期がおすすめですよ」 とのエロディさんからのアドバイスでした。 料金18€ 割引料金14€ (障害を持っている人、18歳未満、25歳未満の学生) 3〜11歳12€ 3歳未満は入場無料 *入場チケットに、アトラクションのチケットが2枚ついています。メリーゴーランドに乗ったり、ギャルソンレースで遊んだり、お好きなアトラクションに使えます。 Musée des Arts Forains 「ワイン倉庫は1859年の建築物です。1980年代には多くが破壊されましたが、こうして一部が保存され、生かされているのは何より。遠出をしなくても、パリ市内にいながら、田舎にいるようなのどかな雰囲気を満喫できます」 とのエロディさんの言葉に、私も賛成です。 次回のパリ旅行の際に、訪問されてはいかがでしょう。 個人的にはユーロディズニーよりも好きです。 そのためにも、コロナウイルスには一段落してもらわねば・・・ フランスのオミクロン株によるコロナウイルス感染拡大のニュースを聞いて、心配されている方も多いことと思います。数字だけを見ると、一体どうなってしまったんだと思われるでしょう。これは、クリスマスや年末年始のパーティ前に、みんなが検査をしたからこその結果です。検査が多ければ、陽性者の発見も増えます。ご存知の通りフランンスはPCR検査が無料で、今は自宅で自分で出来るオートテストもあり、検査のアクセスがとても簡単です。ヨーロッパで一番検査をしている国だと、先日ラジオでヴェラン連隊保険大臣が話していました。 感染者数は確かに異常ですが、そんな背景があってのことなので、人々は冷静に対応し生活を続けています。レストランも映画館も、これまで通り営業しています。 年末年始を日本で過ごした友人がパリに戻り、着いてみたら日本でのイメージとのギャップに拍子抜けしたと話していました。そのくらい、普通にやっています。とはいえ、油断大敵です。 それではまた、 アビアントー! Keiko SUMINO-LEBLANC パリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者 1997年からパリに移住。パリでの結婚・子育てを経てフリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。
ブランドジュリエ Paris通信 2022年スタート
パリの縁日博物館で2022年をスタート 2022年のスタートを、皆さまはどのように祝われましたか? 私はパリ観光局のエロディさんに誘われて、Musée des Arts Forains ミュゼ・デザール・フォレン、縁日博物館へ行きました。 1月1日は、フランスでも祭日です。お店や美術館はお休みするところがほとんどですが、ここ縁日博物館は1月1日も休まず営業しています。縁日の博物館でお正月なんて、とても縁起がいい気がします。 縁日博物館は、パリ12区のベルシーと呼ばれるエリアにあります。歴史的建造物のワイン倉庫群をショッピングセンターにした「ベルシー・ヴィラージュ」をご存知の方もいらっしゃるかも知れません。でもそのほかには、ベルシー駅と経済・財務省のビルがあるくらいで、外国人観光客がわざわざ足を運ぶ見ものはあまりありません。 そのせいかどうかはわかりませんが、縁日博物館のことを私はずっと知らずにいました。 でも到着して思い出しました、以前前を通りかかった時に「なんだこれは?!」とびっくりしたことを。外壁に石膏の頭がいくつも並ぶ不思議な館が現れて、度肝を抜かれたのです。 「ここは骨董蒐集家のジャンポール・ファヴァンさんが、1996年に開業した個人経営の美術館です。彼は70年代、ルーブル美術館向かいのアーケードに、骨董商が集まるルーブル・デ・ザンティケールを立ち上げた人物。縁日装飾と舞台芸術の蒐集は、彼のパッションなんですよ」 と、エロディさん。 エロディさんはファヴァンさんインタビューしたことがあり(なんと彼の自宅で!)、蒐集品の倉庫を美術館として公開することにした、という経緯も教えてくれました。 4つの会場と庭からなる広い敷地に、19世紀と20世紀の蒐集品が展示されています。蒐集品も会場も、イベントや撮影に貸し出すそうで、なんとウッディ・アレンの映画「ミッドナイト・イン・パリ」も、ここで撮影されたそう。 中に一歩足を踏み入れると、フランス世紀末、狂乱の時代へタイムスリップ! ベルエポックといえばレヴュー。レヴューの衣装も、当時の本物がたくさん!全て貸出可能だそうです。ジョセフィン・ベーカーが使った赤い羽根飾りは6kg。これを被って、歌って踊る。華やかな世界の常として、その影には想像もできない努力があるのでした・・・ お土産コーナーもとてもいい感じ。ブリキのおもちゃやポスター、マッチなど、レトロな品々が並んでいました。これを買うためだけにでも、来る価値があると思ったほど魅力的な品揃え。しかもお値打ち価格でしたよ。) マジック・ミロワールは、1924年の移動ダンスホール。ベルギー製の木造建築で、解体して組み立て直すことができ、街から街へと移動してその土地のお祭りを盛り上げたのだそうです。20年代といえば、憧れのアール・デコ。内装はグレート・ギャッツビーの世界そのものです。当時の自動ピアノも現役で、実際に音楽を奏でていました。誰もが自由に参加できるダンスタイムもあり、本当に、タイムスリップです。 他にも、インスタ映えスポットがいくつもありました。 「おじいちゃん、おばあちゃんにとっては、懐かしい縁日の思い出をもう一度体験できる場所。私たちにとっては映画や本で見たパリを体験できる場所です。通常は週に2回だけ見学可能ですが、クリスマス休暇の間は毎日営業していて出し物も多いので、この時期がおすすめですよ」 とのエロディさんからのアドバイスでした。 料金18€ 割引料金14€ (障害を持っている人、18歳未満、25歳未満の学生) 3〜11歳12€ 3歳未満は入場無料 *入場チケットに、アトラクションのチケットが2枚ついています。メリーゴーランドに乗ったり、ギャルソンレースで遊んだり、お好きなアトラクションに使えます。 Musée des Arts Forains 「ワイン倉庫は1859年の建築物です。1980年代には多くが破壊されましたが、こうして一部が保存され、生かされているのは何より。遠出をしなくても、パリ市内にいながら、田舎にいるようなのどかな雰囲気を満喫できます」 とのエロディさんの言葉に、私も賛成です。 次回のパリ旅行の際に、訪問されてはいかがでしょう。 個人的にはユーロディズニーよりも好きです。 そのためにも、コロナウイルスには一段落してもらわねば・・・ フランスのオミクロン株によるコロナウイルス感染拡大のニュースを聞いて、心配されている方も多いことと思います。数字だけを見ると、一体どうなってしまったんだと思われるでしょう。これは、クリスマスや年末年始のパーティ前に、みんなが検査をしたからこその結果です。検査が多ければ、陽性者の発見も増えます。ご存知の通りフランンスはPCR検査が無料で、今は自宅で自分で出来るオートテストもあり、検査のアクセスがとても簡単です。ヨーロッパで一番検査をしている国だと、先日ラジオでヴェラン連隊保険大臣が話していました。 感染者数は確かに異常ですが、そんな背景があってのことなので、人々は冷静に対応し生活を続けています。レストランも映画館も、これまで通り営業しています。 年末年始を日本で過ごした友人がパリに戻り、着いてみたら日本でのイメージとのギャップに拍子抜けしたと話していました。そのくらい、普通にやっています。とはいえ、油断大敵です。 それではまた、 アビアントー! Keiko SUMINO-LEBLANC パリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者 1997年からパリに移住。パリでの結婚・子育てを経てフリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。
ブランドジュリエ Paris通信 規制にさよなら!
規制にさよなら! コロナ後のパリのおすすめ色々 7月になりました。 フランスは6月30日をもって、コロナ関連の規制が一挙に無くなりました。 現在フランス全土のあらゆる施設が、通常通りの営業を再開しています。 美術館、劇場、レストラン、ホテル、全て! メトロやバスを含む屋内に限って 引き続きマスクの着用が義務づけられていますが、それ以外の規制はありません。 買い物もこれまで通りできますし、洋服の試着も可能。 できればこのタイミングにぜひ、パリに来ていただきたい! 実際、パリとフランスの各地方が、観光客を受け入れる気満々なのです。 「Les Vacances c’est en France」 (レ・ヴァカンス・セタン・フランス〜ヴァカンスはフランスで)というスローガンを、 マクロン大統領自ら発信したりもしました。 ヴァカンス、フランス、韻を踏んでいるのはさすが、詩の母国語を話す国のスローガンですね・笑 そんなコロナ後の世界を謳歌するパリの様子をご覧ください。 まずはパリ最大でヨーロッパ最大のデパート、ギャラリーラファイエットの今。 今年の夏、ギャラリーラファイエットは「パリ・モナムール」をテーマに、館内を盛り上げています。 ユーロディズニーのキャラクターたちが館内を練り歩いたり、 クリエイターによる刺繍アトリエが開催されたり、抽選でヘリコプターのパリ1周体験が当たったり! お馴染みのクーポルを飾る大きなハートの前でウエディングの記念撮影をするカップルも出てくるようです。 私ももう1ぺん結婚したくなりました!笑 デパート「ギャラリーラファイエット」 https://haussmann.galerieslafayette.com/ami-paris-mon-amour/ 美術館は、事前予約がコロナ後のニューノーマルに。 話題のピノーコレクション「ブルス・ド・コメルス」に、オープン初日に行きました。 現代美術館「ブルス・ド・コメルス」 https://www.pinaultcollection.com/fr/boursedecommerce 18世紀のもと倉庫を、安藤忠雄さんが美術館に作り替えるということで、日本でも注目されていた美術館です。 中に入ってみて、歴史的建造物を美術館に生かす工夫が オリジナルの建築にすっかり溶け込んでいて、なんの違和感もないことにびっくりです。 そしてフランソワ・ピノーさんの現代アートコレクション! 尊敬しかありません。ガラス天井の下、圧倒的な存在感を放つ大理石の彫刻は、実はろうそく。 実際に火が灯してあり、ろうが溶けて落ちていました。 数日後に再訪したら、全然違った形になっている・・・と思うと、もういっぺん見に行きたい! 作者のウルス・フィッシャーさん、何を思って作ったのでしょうか。 そしてこれを見た私は、何を感じたのか? 贅沢な空間で、ゆったり芸術鑑賞ができるニューノーマルは、とても快適です。 もう一つ、ポンピドゥセンターで開催中の、女性による抽象芸術展「Elles font l’abstraction」 芸術展「Elles font l’abstraction」 https://www.centrepompidou.fr/fr/programme/agenda/evenement/OmzSxFv こちらも衝撃的でした。 抽象芸術なんて最近のことだと思ったらそうでなく、1860年に始まった芸術表現なのだそうです。 そして新しいと思っていた分野であるにもかかわらず、女性たちがいかに虐げられてきたことか! とても啓発される、フェミニズムな切り口。新しい世界にふさわしい内容です。 ギャラリーも賑わいを取り戻しています。 イサムノグチの作品「Akari」を集めた展示が、マレ地区のギャラリーで開催中。 ちょうど日本の東京都美術館でも「イサムノグチ 発見の道」展が開催されているのですね。 「イサムノグチ 発見の道」展 https://isamunoguchi.exhibit.jp イサムノグチの作品をこんなにたくさん、一堂に見たことはありませんでした。 鑑賞しながら、 これまで「和の風情」だと感じていた「Akari」が、実は近未来的だったことを発見。 宇宙的だとも感じます。 一度でいいからこういう空間で生きてみたいものだ、とも、つくづく思いました。 ちなみにここはギャラリーですので、展示作品を購入することができます。 屋外のイベントスペースも人気です。 パリ郊外のパンタン市に2019年に誕生した ラ・シテ・フェルティルは、コロナ以降さらに人気が増しています。 毎週週末になると色々な催し物が開催されるので、バラエティーは無限! いつ行っても何かしら面白いことをやっていますから、 老若男女、小さな子供連れからおひとり様、色んな人が集います。 私もパンのマルシェや発酵マーケット、クリエーター見本市など体験しました。 外で日がな一日友達と過ごす時間は、本当に自由そのものですね。 イベントスペース「ラ・シテ・フェルティル」 https://citefertile.com 星つきレストランも再開したので、早速ル・クラランスへ。 贅沢旅行の予算はなかなか無くても、贅沢ランチなら1年に1度くらい奮発できる! と、 この日、テーブルを共にした友人と確信しあったものです。 こういう思いが時にはないと、人生は結構きついですよね。 1年に1度くらいは自分を幸せにしてあげなくては。 レストラン「ル・クラランス」 https://le-clarence.paris パレ・ド・トーキョーのレストラン「バンビーニ」は、店内もテラスも広々! 天気が良ければテラスで、雨なら店内で、と融通がきき、イタリア料理は安定の美味しさ。 アフターコロナに覚えておくと便利だと思います。エッフェル塔も見えますよ! レストラン「バンビーニ」 https://bambini-restaurant.com 通常テラスのない店も、今ではみんな特設テラスをもっています。 獺祭ジョエル・ロブションもそう! 毎週木曜日の夕方、テラスで立ち飲みバーを楽しめます。 なんと、おつまみは無料サービスなのです! 獺祭とブルーベリーリキュールで作るカクテル、サキール(12€)や、 ライムの輪切りを添えた獺祭スパークリング(15€)と、 ジョエル・ロブション仕込みのおつまみがたっぷりサーブされる立ち飲み獺祭。お値打ちですよね? これはパリの特権! パリジャン、パリジェンヌが大好きな公園も、引き続き、いえ、ますます人気。 お昼時にパレ・ロワイヤルを歩いたら、ベンチでランチする人が大勢いました。 なんと、レストラン・グラン・ヴェフールもテラスを出していましたよ。 ちなみに、ブランド・ジュリエオーナー中川さんのポートレイトは、パレ・ロワイヤルで撮影しました! コロナウイルスは恐ろしくしぶといので、これで終わりだなどと誰も思っていないでしょう。...
Paris通信 ベアトリス・ラヴァル ③
ベアトリス・ラヴァルさんのショップ «Le monde Sauvage» へ! 前回は、ファブリックデザイナーで «Le monde Sauvage»(ル・モンド・ソヴァージュ)オーナー、 ベアトリス・ラヴァルさんのご自宅をじっくりご覧頂きました。 今回は、パリのマレ地区にあるショップへご案内致します。 「パリで最も古いエリア」と呼ばれるマレ地区には、 ヴォージュ広場やカルナヴァレ美術館などがあります。 そのカルナヴァレ美術館のすぐそばに、『ル・モンド・ソヴァージュ』のショップが。 早速中へ入りましょう。 入り口からもう、色と異素材の洪水です! そしてニューノーマルのアルコールジェル。 ベアトリスさんは、ショップのスタッフさんと意見交換中です。 奥へ進むとこんな感じ。ソファにたくさんのクッションを重ね、 背の部分に壁紙を吊ってパーティションにしてありました。 この壁紙、ベアトリスさん宅の玄関にも使われていました。 彼女の自信作で、『ル・モンド・ソヴァージュ』ならではのアプローチがあるのです。 「壁紙を作りたいと思ったのですが、いいものがすでにいくらでも存在しています。 私のブランドらしい、他にはない何かができないかと考えて見つけたアイデアが、 正方形のパーツを貼り合わせて完成させる壁紙でした」と、ベアトリスさん。 ロールの壁紙と違って扱いが簡単。 しかもハンドプリントのムラな仕上がりのおかげで不揃いさが味わいになり、 パーツを柄合わせする必要がないのです。 「いびつなものや完璧ではないもの、不完全なものの味わいを愛でることは、 日本の美意識の一つですね」とベアトリスさんに言われ、確かにそうだと気づきました。 ワビサビのポエジーを、日本人である私たちはすっかり忘れてしまってはいないか? 実は、私の住まいには1年ほど前に買った壁紙が置きっぱなしになっています。 早く使えばいいのに、きれいに貼る自信がないから放置しているのです。 でも、完璧に仕上がるかどうかよりも、大切なことがあるのかも知れません。 ベアトリスさんの言葉が、そう気づかせてくれました。 ベアトリスさん自慢の壁紙で、私もDIYをしたいです! ハンドメイドの味わいのおかげで、不慣れなDIYも必ず成功するはずですから。 パーティションの後ろ側には、ベッドルームの演出が。 ベッドヘッドの後ろの壁に、タピスリーが吊ってあります。 ものをその用途だけに使わないところが、 ベアトリスさん流のインテリア術であること、前回のご自宅訪問でよくわかりました。 ショップにもそのエスプリがあらわれています。タピスリーは床に敷くだけでなく、壁に吊っても素敵! タピスリーを吊るツールとして、カーテンリングやカーテンクリップを使っています。 これもいわば転用アイデアですね。 ベッドの上のクッションやベッドカバー、シーツ類、全て素材も色も、柄も、まちまちです。 ベアトリスさんのご自宅のベッドルームと同じように。 そして自慢の壁紙は、なんと照明にも使われていましたよ。 ベッドルームの演出の向かい側には、リビングルームの演出が。 ここにもハンドプリントの壁紙が使われていて、 さらにまた別の大サイズの壁紙が吊ってあります。 ここでもやはりカーテンリングを使用。まるで舞台の背景のようですね。 壁紙の素材が上質でナチュラルだからでしょうか、単に吊ってあるだけなのになんともいい雰囲気です。 そのお隣には、また別の演出がされていました。 プリントのクッションの中に、ベロアのクッションやカーテンが加わると、グッと奥行きが深まります。 そしてペンキ! 『ル・モンド・ソヴァージュ』が新しく始めたシリーズとのこと。 内装全般に使用できるそうです。 ベアトリスさん宅のように、壁とドアを同じ色に塗ってみようかな? ショップ内を一通り見たら、今度はウインドーをご覧ください。 アースカラーの布見本がずらり・・・ ガラスの反射を避けるために、ウインドーの中に入れてもらって撮影しました。 ベッドルームの演出、こちらでもハンドプリントの壁紙にタピスリーを吊って重ねています。 ベッドの上は、素材違い、柄違いの、クッションやシーツ、ベッドカバー。 素材感の妙を、私の写真ではお伝えできないのが残念です。 ソファの演出。無国籍ですね。多様性は『ル・モンド・ソヴァージュ』の原点であり、 フランス文化に脈々と受け継がれるものだと感じます。 そして壁紙。 ベアトリスさん自慢の壁紙は、もちろんブランドジュリエで取り扱っています。 ベロアのカーテン、クッション、ベッドカバー、タピスリーなども揃っていますので、 ぜひオンラインショップをチェックしてみてください。 オーナーの中川さんが厳選した品々は、 日本の住まいに絶妙な塩梅でフレンチタッチを差し込んでくれるはず。これ、重要です! 目利きのセンスを頼ることが、失敗しない策であり、満足を得るための近道だと思います! それではまた、 アビアントー! →ブランドジュリエのベアトリスラヴァル取り扱いページ Keiko SUMINO-LEBLANC パリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者 1997年からパリに移住。パリでの結婚・子育てを経てフリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。
ブランドジュリエ Paris通信 ガレット・デ・ロワ
ガレット・デ・ロワのエピソード、いろいろ 1月のフランスといえば、ガレット・デ・ロワ! この伝統菓子のない1月など考えられないというくらい、 パン屋さんのウインドーにも、スーパーにも、ガレット・デ・ロワがずらりと並んでいます。 バターたっぷりのパイ生地に、ほっくりとしたアーモンドパウダーの餡 (一般にはアーモンドクリームと呼びますが、「餡」という表現がぴったり)を挟んだガレット・デ・ロワは、 日本ではまだまだ珍しい存在のようですが、年々人気が増している様子。 きっと皆さんの中にも食べたことのある方は多いと思いますし、 「今年はもう5つも食べたわ!」という方もいらっしゃるかも知れません。 フランスではもちろん、とてもポピュラーな存在です。 家庭では食後のデザートに食べたり、 4時のおやつに食べたり(日本は3時ですが、フランスのおやつの時間はquatre heure=4時)、職場で同僚と分け合ったり。 学校の給食にも登場します。 1月のうちに必ず何回か食べることになる、人気の高いスイーツ、と言えますね。 パイ生地とアーモンドパウダーの餡、この組み合わせはどことなくオリエンタルで、 さすが、エピファニー(公現祭)のお菓子だな、と、食べるたびに思います。 エピファニーについては検索していただくとして、 ここではクリスマスから続く一連のキリスト教のお祝いで、 東方の三博士がイエスの誕生を祝うために駆けつけ、到着した1月6日を祝うもの、ということだけメモします。 東方の三博士・・・オリエンタル・・・アラブ菓子・・・アーモンド・・・と、 ガレット・デ・ロワを味わいながら、私の頭の中はいろいろなイメージがくるくると巡るのでした。 ところで、ガレット・デ・ロワの正式な(?)食べ方をご存知ですか? ① テーブルを囲むメンバーの中で、一番歳の若い人がテーブルの下に潜ります。 ② ガレット・デ・ロワを切り分ける人は、「これは誰の分?」と、テーブル下の人に聞きながら、みんなに配ります。 (テーブルの下の人が「誰それの分」と指示します) ③ 一斉に食べます。 ④ 自分のカットの中にフェーヴ(小さな陶器のオブジェ)が入っていたら、あなたがその日の王様(または女王さま)! 王冠を頭にのせましょう。 という話は、きっと皆さん、よくご存知ですよね。日本にはフェーヴのコレクターもいるくらいですから。 でもまだ知られていないエピソードも多いので、今回はそれらについて書きたいと思います。 まずは、ガレット・デ・ロワの袋について。 フランスでガレット・デ・ロワを買うと、必ず専用の紙袋に入れて渡されます。 日本だと、ケーキ用の箱に入れてくれると思うのですが、 フランスでは凝ったガレット・デ・ロワを作るパティシエの店は別として、普通はこんな紙袋です。 そもそもが、パン屋さんで買うカジュアルなお菓子なので、紙袋がちょうど良いのですが(包装代がもったいない!)、 実はこの紙袋にはちゃんと使い道があるのです。 家に帰って食べる前に、オーブンでガレットを温めますよね。その時に必要! 以下、パン屋さんの奥さんが教えてくれた、ガレット・デ・ロワの温め方: ① オーブンを最高温度で充分に温めます。 ② オーブンのスイッチを切って、ガレット・デ・ロワを袋ごと入れ蓋をします。 ③ 5分間待ったら出来上がり。ちょうど食べごろです。 「こうすると、パイ生地が乾燥しなくて美味しいの」と、パン屋の奥さんの話でした。 以来私はずっと、この方法で温めて食べています! 日本の場合は、オーブンペーパーを使うといいですね。 続いては、エリゼ宮で振舞のガレット・デ・ロワについて。 フランス大統領官邸エリゼ宮でも、毎年ガレット・デ・ロワが振る舞われるのだそうですが、 エリゼ宮のそれは、他とは違うところが1つあるといいます。 何が違うと思いますか? なんと、フェーヴが入っていません! 「共和国に王はいないから」ということで、この話をラジオで聞いた時には、 フランス人は本当に、知的な遊び心のある人たちだなあと面白くなりました。 以上、小話でした。 以下、今年私が食べたガレット・デ・ロワをいくつか。 まずは、今年最初に娘と食べたガレット・デ・ロワ。我が家の斜向かいにあるパン屋さんで買いました。 これが絶品! 特に何がすごいというわけではない、ごくごく当たり前のガレット・デ・ロワなのですが、 噛めば噛むほど旨味が滲み出るパイ生地といい、ほっくり仕上がったナッツ風味豊かな餡といい、 またその双方が重なり合うバランスの妙といい、娘も私も感激しました! 年末に職人が変わったせいでしょう、去年までとは別物でしたよ。 フェーヴはフレジエ(いちごのショートケーキ)。私があてました。 二つ目は、メゾン・カフェのガレット・デ・ロワ。 フランス最優秀職人(MOF)パティシエで、 デザート世界チャンピオンの、パスカル・カフェさんのお店、パリ13区店で買いました。 本店はシャンパーニュ地方のトロワにあるそうです。 Maison Caffet 93 Rue de la Glacière 75013 Paris さすがMOFパティシエのガレット・デ・ロワ、奇をてらわぬ伝統レシピで、とてもおいしかったです。 有名店になると、オリジナルアレンジの凝ったものを出す所が多いのですが、私は基本のガレット・デ・ロワが一番好き。 パスカル・カフェさん、ファンの気持ちをよくわかってくださっています! フェーヴはスマーフでした。これも私が当てましたよ! 3つ目は、2017年パリのバゲットコンクール優勝店、ブラン・ブーランジェでゲット。 なんとこの店のヴィエノワズリー(菓子パン)は、エシレのバターを使っているのです! バターが命のガレット・デ・ロワです、最高峰バターを使って作ったら、絶対美味しいに決まっている! ガレット・デ・ロワを買うついでに、パリNo1に輝いたバゲット・トラディションも買って、と・・・ フェーヴは、またしても私が当てました。スネイプ先生。 今年、ブラン・ブーランジェは、ハリーポッターのキャラクターフェーヴを選んだそうです。 ブラン・ブーランジェのガレット・デ・ロワも伝統レシピそのもので、私は大満足でした! 上の3つのガレット・デ・ロワの他にも、あと2つ、食べました。まだまだ、もういくつかは食べたいです。 季節限定のこのお菓子が、本当に大好きなので! 考えてもみれば、今の私たちパリの住人にとって、ほとんど唯一の自由がグルマンディーズ、食べる喜びです。 何事も過ぎたるは及ばざるが如しなので、「ほどほど」に留意しながら、家で食べる喜びを満たしたいと思います! それではまた、健康第一で! アビアントー! Keiko SUMINO-LEBLANC...
ブランドジュリエ Paris通信 ガレット・デ・ロワ
ガレット・デ・ロワのエピソード、いろいろ 1月のフランスといえば、ガレット・デ・ロワ! この伝統菓子のない1月など考えられないというくらい、 パン屋さんのウインドーにも、スーパーにも、ガレット・デ・ロワがずらりと並んでいます。 バターたっぷりのパイ生地に、ほっくりとしたアーモンドパウダーの餡 (一般にはアーモンドクリームと呼びますが、「餡」という表現がぴったり)を挟んだガレット・デ・ロワは、 日本ではまだまだ珍しい存在のようですが、年々人気が増している様子。 きっと皆さんの中にも食べたことのある方は多いと思いますし、 「今年はもう5つも食べたわ!」という方もいらっしゃるかも知れません。 フランスではもちろん、とてもポピュラーな存在です。 家庭では食後のデザートに食べたり、 4時のおやつに食べたり(日本は3時ですが、フランスのおやつの時間はquatre heure=4時)、職場で同僚と分け合ったり。 学校の給食にも登場します。 1月のうちに必ず何回か食べることになる、人気の高いスイーツ、と言えますね。 パイ生地とアーモンドパウダーの餡、この組み合わせはどことなくオリエンタルで、 さすが、エピファニー(公現祭)のお菓子だな、と、食べるたびに思います。 エピファニーについては検索していただくとして、 ここではクリスマスから続く一連のキリスト教のお祝いで、 東方の三博士がイエスの誕生を祝うために駆けつけ、到着した1月6日を祝うもの、ということだけメモします。 東方の三博士・・・オリエンタル・・・アラブ菓子・・・アーモンド・・・と、 ガレット・デ・ロワを味わいながら、私の頭の中はいろいろなイメージがくるくると巡るのでした。 ところで、ガレット・デ・ロワの正式な(?)食べ方をご存知ですか? ① テーブルを囲むメンバーの中で、一番歳の若い人がテーブルの下に潜ります。 ② ガレット・デ・ロワを切り分ける人は、「これは誰の分?」と、テーブル下の人に聞きながら、みんなに配ります。 (テーブルの下の人が「誰それの分」と指示します) ③ 一斉に食べます。 ④ 自分のカットの中にフェーヴ(小さな陶器のオブジェ)が入っていたら、あなたがその日の王様(または女王さま)! 王冠を頭にのせましょう。 という話は、きっと皆さん、よくご存知ですよね。日本にはフェーヴのコレクターもいるくらいですから。 でもまだ知られていないエピソードも多いので、今回はそれらについて書きたいと思います。 まずは、ガレット・デ・ロワの袋について。 フランスでガレット・デ・ロワを買うと、必ず専用の紙袋に入れて渡されます。 日本だと、ケーキ用の箱に入れてくれると思うのですが、 フランスでは凝ったガレット・デ・ロワを作るパティシエの店は別として、普通はこんな紙袋です。 そもそもが、パン屋さんで買うカジュアルなお菓子なので、紙袋がちょうど良いのですが(包装代がもったいない!)、 実はこの紙袋にはちゃんと使い道があるのです。 家に帰って食べる前に、オーブンでガレットを温めますよね。その時に必要! 以下、パン屋さんの奥さんが教えてくれた、ガレット・デ・ロワの温め方: ① オーブンを最高温度で充分に温めます。 ② オーブンのスイッチを切って、ガレット・デ・ロワを袋ごと入れ蓋をします。 ③ 5分間待ったら出来上がり。ちょうど食べごろです。 「こうすると、パイ生地が乾燥しなくて美味しいの」と、パン屋の奥さんの話でした。 以来私はずっと、この方法で温めて食べています! 日本の場合は、オーブンペーパーを使うといいですね。 続いては、エリゼ宮で振舞のガレット・デ・ロワについて。 フランス大統領官邸エリゼ宮でも、毎年ガレット・デ・ロワが振る舞われるのだそうですが、 エリゼ宮のそれは、他とは違うところが1つあるといいます。 何が違うと思いますか? なんと、フェーヴが入っていません! 「共和国に王はいないから」ということで、この話をラジオで聞いた時には、 フランス人は本当に、知的な遊び心のある人たちだなあと面白くなりました。 以上、小話でした。 以下、今年私が食べたガレット・デ・ロワをいくつか。 まずは、今年最初に娘と食べたガレット・デ・ロワ。我が家の斜向かいにあるパン屋さんで買いました。 これが絶品! 特に何がすごいというわけではない、ごくごく当たり前のガレット・デ・ロワなのですが、 噛めば噛むほど旨味が滲み出るパイ生地といい、ほっくり仕上がったナッツ風味豊かな餡といい、 またその双方が重なり合うバランスの妙といい、娘も私も感激しました! 年末に職人が変わったせいでしょう、去年までとは別物でしたよ。 フェーヴはフレジエ(いちごのショートケーキ)。私があてました。 二つ目は、メゾン・カフェのガレット・デ・ロワ。 フランス最優秀職人(MOF)パティシエで、 デザート世界チャンピオンの、パスカル・カフェさんのお店、パリ13区店で買いました。 本店はシャンパーニュ地方のトロワにあるそうです。 Maison Caffet 93 Rue de la Glacière 75013 Paris さすがMOFパティシエのガレット・デ・ロワ、奇をてらわぬ伝統レシピで、とてもおいしかったです。 有名店になると、オリジナルアレンジの凝ったものを出す所が多いのですが、私は基本のガレット・デ・ロワが一番好き。 パスカル・カフェさん、ファンの気持ちをよくわかってくださっています! フェーヴはスマーフでした。これも私が当てましたよ! 3つ目は、2017年パリのバゲットコンクール優勝店、ブラン・ブーランジェでゲット。 なんとこの店のヴィエノワズリー(菓子パン)は、エシレのバターを使っているのです! バターが命のガレット・デ・ロワです、最高峰バターを使って作ったら、絶対美味しいに決まっている! ガレット・デ・ロワを買うついでに、パリNo1に輝いたバゲット・トラディションも買って、と・・・ フェーヴは、またしても私が当てました。スネイプ先生。 今年、ブラン・ブーランジェは、ハリーポッターのキャラクターフェーヴを選んだそうです。 ブラン・ブーランジェのガレット・デ・ロワも伝統レシピそのもので、私は大満足でした! 上の3つのガレット・デ・ロワの他にも、あと2つ、食べました。まだまだ、もういくつかは食べたいです。 季節限定のこのお菓子が、本当に大好きなので! 考えてもみれば、今の私たちパリの住人にとって、ほとんど唯一の自由がグルマンディーズ、食べる喜びです。 何事も過ぎたるは及ばざるが如しなので、「ほどほど」に留意しながら、家で食べる喜びを満たしたいと思います! それではまた、健康第一で! アビアントー! Keiko SUMINO-LEBLANC...