Paris通信 パリのご自宅を訪問!①
ブランドジュリエのオーナー中川麗子さんが、 「色の天才!」と賞賛するベアトリス・ラヴァルさんのご自宅を 中川さんに代わって訪問しました! ベアトリスさんは、ファブリックブランド「Le Monde Sauvage(ル・モンド・ソヴァージュ)」のデザイナー兼社長です。 ル・モンド・ソヴァージュ、「野生的な世界」という名のこのブランドは、ベアトリスさんのご両親が1970年に創業したのだそう。 「世界中を旅して、その土地で見つけた面白いものを買い付ける。 そんな父に連れられて、私も子供の頃から中国や日本を旅行したものです。」と、ベアトリスさん。 “有名ブランドの女性社長”で、 “マレ地区の100㎡越えのアパルトマンに住んでいる(裕福な方)” という情報からは想像できない気さくさで、会話がどんどん弾んでゆきます。 きっと中川さんも、いつもこんな感じで 楽しく近況報告をしているのだろうな、と想像してしまいました。 さあ、パリらしいオスマニアンスタイル(19世紀の建築様式)のアパルトマンの、最上階のドアを開けましょう。 するとそこは空に浮かぶ、光あふれる空間です。 「アパルトマンを囲むように、ぐるりとテラスが巡っています。 この広いテラスに魅せられて、どうしてもここに住みたいと思いました。 本当は、以前住んでいたアパルトマンよりも広い物件を探していたのに、逆に狭くなったのですよ(笑)。 それくらい惚れ込んだアパルトマンです。」 ベアトリスさんは物件を購入すると、大々的な内装工事を行いました。 壁を取り払い、間取りを変え、キッチンやバスルームの場所を移動し、 スチールの階段を取り付けて、上下2階からなるアパルトマンが完成。 「元々の間取りは旧式で、玄関のドアを開けて中に入ると玄関ホールのような閉ざされた空間でした。 その壁を取り除き、ご覧の通りの開放感を実現しています。 ただし、玄関とリビングの間には精神的な仕切りが欲しかったので、玄関部分の空間を黒で統一することに」 と、ベアトリスさん。 黒という色は、パリの室内にはあまり見られない色です。 「私たちの祖父母の時代までは、黒は葬式の色でした。 今でこそプチット・ローブ・ノワール(黒いワンピース)は人気のアイテムですが、 それでも文化的に、そして習慣的に、人々は黒から葬式を連想してしまうものだと思います。 そんな理由から、人々は内装に黒を避けるのではないかしら。」 ●では、なぜベアトリスさんは黒を取り入れるのでしょう? 「黒は、他の色の魅力を最大限に引き出す色だと思います。 玄関に黒を使ったことで、リビングの明るさや他の色が、いっそう際立っていると感じませんか?」 玄関部分の壁には、ル・モンド・ソヴァージュの壁紙が使われています。 この壁紙、ブランドジュリエのYouTubeで、中川さんが使い方を説明していました! インドの木版技術でプリントした壁紙は、手作り独特のムラや不揃いが見られ、 それがこの壁紙ならではの持ち味であり、魅力です。 「私の友人たちからもとても好評で、大勢が使ってくれています。 でもなぜか誰もドアを黒に塗るところまではしません。 『ぜひドアを黒く塗って! そのほうが絶対素敵だから!』と、いつも力説しています。 そしてちゃんと実行してくれた友人からは『そうね、黒く塗り直した方が素敵』と、いい反応が返ってきています。」 なるほど! 確かにベアトリスさんの住まいを見ていると、 黒が効果的な引き締め役を果たしている事がわかりますし もしドアが白だったらせっかくの壁紙もここまでおしゃれには見えなかったでしょう。 ●リビングにはブルーが多用されています。壁に、本棚に、ドアに、ブルーのペンキが使われています。 ブルーがお好きなのですね? 「うーん・・・そういうわけでもないのですよ。 ブルーよりも、最近はグリーンに惹かれていて、クッションやタピスリーなどにグリーンを取り入れています。 リビングにブルーが多いのは、きっとこのアパルトマンが最上階にあって、窓の外が空だからだと思います。」 ●つまり、ベアトリスさんにとって、色は「場」そのものが決めるもの、ということでしょうか? 「はい。もし別のアパルトマンだったら、別の色を選んでいたことは確かです。 たとえ同じ建物の中にある別のアパルトマンだとしても、1階と最上階ではまた違うはず。光も違えば、窓から見える景色も違いますから。」 その「場」「空間」をよく観察して、そこにふさわしい色を選ぶ。 なかなか高度な仕事に思えますが、ベアトリスさんは 「悪い色なんてありませんし、悪い趣味もない。何も心配せず、好きな色を選んで、 あとはちょうどいい調和を見つければいいのです」と、ちっとも力むところがありません。 最近気に入っているというグリーンは、濃淡の違いやプリント、素材違いなどで、多様に登場しています。 「パリから70kmほどのフォンテーヌブローにセカンドハウスを買って以来、夫はガーデニングに夢中です。 ご覧ください、ここにも彼の『庭』があって、私は触れないのですよ(笑)。 きっとセカンドハウスの影響で、私もグリーンという色をたくさん取り入れているのでしょう。」 ではブルーのドアの向こう、キッチンへと進みましょう。 …②へ続く
Paris通信 ブロカント商「ラ・ブリュイエール」を訪ねて、ランジス市場へ2
前回の記事「ブロカント商『ラ・ブリュイエール』を訪ねて、ランジス市場へ 」は、お楽しみいただけましたか?今回は、その取材の最中に、私が個人的に気になったものをご覧いただきたいと思います。まずはもう一度、広大な売り場のカットから。 明確な意思を持って1点1点確認されている中川オーナーの隣で、 「品揃えが多いなあー」と、圧倒されながらた商品を見て歩く私。 なにしろ、数が多すぎるくらいに多い! そんな中で「これは変わっているな」と、 目が止まったのがこちらのカップアンドソーサー。 ぼてっとした陶器で、持ち手の部分が指を通せる作りではなく、つまんで持ち上げるデザイン。 カップは浅く、横に広い形をしていて、シャンパンカップや盃のようです。 見るからに持ちにくそうなので、用心深く手にしたところ、やはり案の定持ちにくい一品でした。にもかかわらず、密度の荒い軽い土で焼いたその風合いと、カサッとした持ち味に、心を惹かれるものがありました。毎朝の緑茶をこれで飲んだら楽しそうです。 変わって、こちらのカップアンドソーサーは、リモージュ焼き風の上品な質感。白く滑らかな風合いで、金の縁取りも綺麗です。そこにあえて、あっさりとした絵付けがされているところが、シンプルで洒落ているなと思いました。 揃いのティーサーバーやケーキ皿もあったので、まとめて購入して使ったらどんなだろう、としばし空想。 湯呑みサイズの小さなボウルは、そもそもの用途はなんだったのか? カフェオレボウルにしては小さすぎるし・・・ わかりませんが、それこそ毎朝の緑茶にちょうどいいサイズです。 こういう小さなボウルは、あると案外使い道があるのですよね。 ソース類を入れたり、アイスクリームやデザートをサーブするのに使ったり。 角砂糖やナッツ類を入れるのにも重宝しそうです。 フランスのインテリアショップでよく見るタイプの、立体柄のお皿。 明らかに飾り皿としてしか使えないものもありますが、これはテーブルで使えそうです。 バラの花だから、5月の食材を盛り付けたいですね。 前回も書きましたが、売り場のディスプレイがとても参考になりました。 やはり定番のブルーを使ったセットは、鉄板アイテム。安定感があり美しいです。 明るい色使いのこんなテーブルも素敵。 ところで、テーブルセッティングのフォークの向き、伏せておくのか、伏せないのか? いつも気になっていましたが、ここではフォークを伏せてセットしています。私の友人宅でもそうでした。 私はフォークを伏せません。(結婚していた当時フランス家庭がそうだったので) 正式なのはどちらでしょう? 調べたところ、フォークやスプーンを伏せるのはフランス流、伏せないのはイギリス流なのだそうです。 グラスのコーナーに、私が集めている足のないタイプのグラスがこんなにたくさん! ワインを飲むのにコップでは味気ないけれど、足のあるグラスはすぐに割ってしまう。どうしたものかと思っていたとき、チャリティーショップで出会ったのがこのタイプのグラスでした。以来このタイプを見つけると購入するようにしているのですが、ここ「ラ・ブリュイエール」のものは予算オーバーでした。そうなのです、市場でありながらもお安くない! 陶器の色見本、素敵ですよね。 今はもう用途のないものだけれど、欲しいなあと思いました。 きっと上手い使い方があるはず。 それを想像してみるのがクリエイティブ! 古本や古いデッサンを、こんなふうに飾れたら素敵です。 そういうゆとりのある空間に住みたいものです。 以上、私が注目したあれこれでした。 住まいづくりはコツコツ、一生続く作業。 試行錯誤しながら、楽しみたいと思います。 それではまた、アビアントー!La Bruyèrehttps://brocantedelabruyere.fr Keiko SUMINO-LEBLANCパリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者1997年からパリに移住。パリでの結婚・子育てを経てフリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。
Paris通信 ブロカント商「ラ・ブリュイエール」を訪ねて、ランジス市場へ1
9月はインテリアの見本市「メゾン・エ・オブジェ」のシーズンです。芦屋ブランドジュリエの中川オーナーは、毎年この時期になるとパリへ飛び、買い付けを行っています。今回は、ランジス市場にあるブロカント(レトロな中古品)商をたずねるとのことで、私も同行しました。「ラ・ブリュイエール」というお店、中川さん親しいデザイナーのベアトリスさんが紹介してくださったそうです。ベアトリスさんの展示会の様子は【コチラ】 温室のような倉庫の中に、複数の業者が入居している。「ランジス市場」、ご存知ですか?フランス最大にして世界最大の生鮮食品市場で、総面積は234ha。モナコ公国の総面積が203haですから、モナコよりも広い!敷地内は車で移動するように交通整備されており、青果市場セクション、肉市場セクション、魚市場セクション、乳製品市場セクションなどなど、それぞれを行き来するには車で移動しなくてはならず、1つの街のように巨大です。芦屋ブランドジュリエファンのみなさんは、生花市場セクションのことをご存知かも知れません。その生花市場セクション内にあるデコレーショングッズ棟の1つに、目的地「ラ・ブリュイエール」はありました。 ↑ガーデングッズのコーナーを一周する中川オーナー。 「ラ・ブリュイエール」と看板が出ているわけではないが、ここからショップがスタート。2階に家具の倉庫がある。↑まるで作品のように美しい商品のディスプレイ担当者に挨拶をし、まずはぐるりと売り場を一周。どんなものがあるのか、どこに何があるのか、いったんすべてを見て回らないことには何も始められそうにありません。そのくらい広く、商品が多いのです。お皿、カップアンドソーサー、ボウル、コンポート、グラス、といった食器類。鏡、シャンデリア、キャンドルスタンド、花瓶などのインテリアグッズ。パニエや、用途のよくわからない古びた木の道具などもあります。「食器は充実しているけれど、家具は少ないのね・・・」との中川オーナーの着目をショップの方に投げかけると、家具はレンタル利用が多いので梱包して2階にストックしてある、とのこと。撮影等に使用されるのだそうです。どうりで、かなり古びたものが、修理や洗浄をせぬまま売り場に並んでいるわけです。撮影やディスプレイには、その古びた本物感が必要ですから。 ↑サイズ別、形別に陳列されたさまざまなお皿。数十枚分揃いのものも。↑ケーキスタンドにコンポート。これだけの品揃えから選べるのはやはり嬉しい。しかし、芦屋ブランドジュリエの店頭に並ぶ商品は、清潔な日本の住まいで実際に使えるものでなくてはなりません。この点、中川オーナーは厳しくチェックされていました。メゾン・エ・オブジェなど中川オーナーに同行する際はいつも思うのですが、スタイルも値段も幅広く陳列された会場で、これだ!と確信できる商品を選び抜くことは、一般の消費者にはできない作業です。長年の経験と知識の積み重ね、そしてトレンドを察知する感性を常に鍛え続けていなくては。いいもの選びは、文字どおり目利きのプロの技です。 ↑まだまだ奥へと続く売り場。 ↑パニエいろいろ。実際に使うためというよりは、ディスプレイ用という感じ。 ↑買い付け作業に集中する中川オーナー。 もう一つの気づきは、「ラ・ブリュイエール」の商品の金額がそんなにお安くないこと。市場、と聞くと、お得な卸値を想像するのですが、いえいえ、パリ市内のチャリティショップの方がよほどお安いです。でも、チャリティショップの品揃えは一期一会。いいものに出会える保証はありません。その点「ラ・ブリュイエール」のような専門店は安心です。私も個人的に「これはぜひ欲しい!購入したい!」という商品がたくさんありました。が、ここは市場。登録をしたプロの業者だけ、購入することができます。つまり、ツーリストは行っても何も買えませんので、要注意です。↑中川オーナーが厳選した商品の一部。中川オーナーが買い付けた品々が、縦型の棚状カートに積まれてゆきます。赤や緑色の、ちょっとオリエンタルな雰囲気のガラスのカップ、目が奪われますね!「ナチュラル一辺倒では面白くないから」と、中川オーナー。これが芦屋ブランドジュリエの店内に並ぶ様子が、今から楽しみです。次回のパリ通信では、この日、私が個人的に気になったものを、ピックアップしてお見せしたいと思います。↑お隣の棟にある園芸売り場。本当に広い!それではまた、アビアントー!La Bruyèrehttps://brocantedelabruyere.fr Keiko SUMINO-LEBLANCパリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者1997年からパリに移住。パリでの結婚・子育てを経てフリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。
Paris通信 リッツ・パリのパティスリー「ル・コントワール」セーヴル店がオープン
パリ好きのスイーツファンなら、リッツ・パリのケーキショップ「ル・コントワール」をご存知のはず。シャネルの歴史的本店カンボン通り店と同じ道にある、人気のケーキショップです。La Liste(ラ・リスト 世界中のレストランを評価するアワード)の2024年世界最優秀パティスリー World’s Best Patisserieにも輝き、シェフパティシエのフランソワ・ペレさんは間違いなく、いま一番乗りに乗っているパティシエの1人といえます。 その「ル・コントワール」が、パリ左岸に支店となるセーヴル店をオープンしました。今年5月末、オープン前のプレス会で撮影した写真とともに、店内をご案内いたします。まず、場所はその名のとおりセーヴル通り、つまり百貨店ル・ボンマルシェの真向かい!左岸に店を出すとして、これ以上の好立地はないでしょう。ホテル・ルテシアの宿泊客も、きっと大喜びで利用するはずです。 リッツのパティスリーが、パリの皆さんのそばに自らやってきた、そんなイメージです」と、フランソワ・ペレさんはセーヴル店出店の意図を話してくれました。カンボン通りの本店がいつも混雑しているので、それを緩和する効果もあるかもしれません。ご注意いただきたいのは、セーヴル店はテイクアウトのみというところ。でもここだけの目玉もあって、それはセーヴル店だけのオリジナルスイーツ!こちら! 一見エクレアに見えますよね?実は騙し絵的なケーキになっていて、断面を見るとお分かりいただけるように、何行程もの仕事で仕上げるアントルメなのでした。3種類ある中のカフェフレーバーが、セーヴル店だけの限定スイーツ。私は、エクレアはカフェ派なのですが、このアントルメもやっぱりカフェが一番気に入りました。使用するコーヒーは、パリの有名コーヒーロースター、Lomiのもの。スペシャリテコーヒーブームに沸くのはパリも同じで、質が高くエシカルなコーヒーをサーブする店が驚くほど増えています。Lomiのコーヒーロースターさんは、なんとMOF、フランス最優秀職人。リッツと志を共にする職人のコーヒーを、フランソワ・ペレさんは選んだのですね。本格コーヒーショップ仕込みのオーツミルクのカプチーノがル・コントワールで飲めることも意外だったので、早速いただいたところ、上質な繊細風味のコーヒーでした!エクレア風アントルメのヴァニラは、マダガスカル産ヴァニラたっぷり。こんなにヴァニラを感じさせてくれる店は、なかなかないと思います。本当に贅沢。チョコレートは、チョコレート特有の重たさゼロ、さらりとしながらもコクは豊か。いいものはいつだってこうですから、面白いですね。 フランソワ・ペレさんのトレードマークであるマドレーヌは、全種類が並んでいます。私のおすすめはシトロン。でもどれも美味しいので、できれば全種類を食べていただきたい!そして彼は、騙し絵的なクリエーションも得意であり、またトレードマークなのですが、このマーブルケーキもこんな具合。マーブルケーキのスライスを、マーブル柄にグラッサージュしたアントルメです! 可愛いリッツ・パリのお土産も購入できます。次回は抹茶ラテを試さねば!フランス人のパティシエさんが、カウンターで茶筅をつかって仕上げていました。すごい時代になったものです。ボンマルシェで買い物ついでに、ぜひ足を運んでみてください!特にシトロンのマドレーヌは、後悔させない自信があります! 次回も、パリの今を感じられる情報をお届けしたいと思います。それではまた、アビアントー!Le Comptoir セーヴル店45 Rue de Sèvres, 75006 Paris営業時間:9時〜20時(日曜のみ10時〜20時)定休日:なし Keiko SUMINO-LEBLANCパリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者1997年からパリに移住。パリでの結婚・子育てを経てフリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。
Paris通信 フランスにもノンアルブームが!?
早いもので2025年も、すでに3ヶ月が経過しました。日ごとに春が近づいていることを感じる、今日この頃のパリです。2025年1月から今日までのパリを振り返ると、1月のドライジャニュアリーが印象的でした。ドライジャニュアリーとは、2014年にイギリスで始まった運動で「パーティ続きの12月が終わった1月、1ヶ月間アルコールを飲まずに過ごそう!」という、ちょっとしたチャレンジのような新習慣です。 正式にフランスに上陸したのは2020年。フランス公衆衛生庁が、大々的にキャンペーンを打ち出しました。以来、年を追うごとにフランスの人たちから積極的に受け入れられ、今年1月はワインショップのウインドーもノンアルコールのドリンクが花盛り!パリ在住27年の私は、「ボルドーワインとシャンパーニュの国フランスが、よくここまで変わったものだ(業界がよく黙ったものだ・笑)」と、この変化を感心しながら眺めています。それだけ、心と身体の健康が、フランスの人たちの関心事になっているということですね。 そんな今年1月、ノンアルコールシャンパンFrench Bloom のパーティが、最高級ホテルの1つ、ル・ムーリスで開催されました。【French Bloom】https://www.frenchbloom.com/ ※写真のコピーライトは全て ©Saint-Ambroise フレンチブルームは、本格ノンアルコールスパークリングワインのブランドで、2人の女性が開業者です。ひとりはミシュランガイド出身のマジー・フレールジャン=ティタンジェさん、もうひとりは元モデルのコンスタンス・ジャブロンスキさん。「妊娠した女性たちが、料理に合わせる飲み物がない」ことを、ご自身が妊娠した際に体験したマジーさんと、職業柄ウエルネスに真剣に取り組むコンスタンスさん、2人の友情から誕生した飲みのものがフレンチブルームなのだそうです。 名前からピンときた方もいらっしゃるかと思いますが、 マジーさんの夫ロドルフ・フレールジャン=ティタンジェさんは、シャンパンメゾン「フレールジャン」の社長。彼の全面的なバックアップを得て、これまでにない本格的なノンアルコールスパークリングワインが完成したという・・・ そのリリース時の2021年、私はたまたまギャラリーラファイエットのポップアップコーナーで、フレンチブルームを初めて試飲していました。その時の感想は、「もちろんシャンパンとは違うけれど(アルコールが入っていないので当たり前です)、でも決してこどもだましではないな」という、 表現が貧困で心苦しいですが、そんな印象だったことを覚えています。で、今回、ル・ムーリスのパーティでじっくりと飲んでみて、「確かにしっかりと作られている」と実感。ノンアルコールながら、複雑さや深みを感じるのです。新しいキュヴェも誕生し、さらにグレードアップ。日本上陸も近いと思われますので、機会がありましたらぜひお試しを。フレンチブルームは、パーティの華やかさと、大人が納得できる味わいを与えてくれる、いい選択肢の1つだと思います。お酒と美食が大好きな人でも、いつでもどこでもシャンパンを飲みたい訳ではないですから、ノンアルコールの選択肢はありがたいはず。健康上の理由からアルコールを制限しているなら、なおのことです。 さて、パーティ会場には、身体のラインが美しく出るドレスで着飾った、お腹の大きい女性たちの姿が多く見られました。みなさん華奢なパンプスを履いて、手にはフレンチブルームのグラスを持って。妊娠中だからといって、社交の場から遠ざかってしまうのはナンセンス、そんなメッセージが伝わってくるようでした。コンスタンスさんもぴっちりとした黒いシルクのドレスを着ていて、大きなお腹がとてもとても魅力的に見えました。 人生のあらゆるシーンで、その時、その瞬間を謳歌する!実にポジティブなパーティでした!締めくくりは、世界一のフォロワー数を誇るスターシェフパティシエ、セドリック・グロレさんによるバースデーケーキが登場!このタイミング、私はすでに会場を後にしていて、残念ながグロレさんのデザートを食べてはいません。 でも上質なフレンチブルームと、野菜ベースの美味なフィンガーフードbyアラン・デュカスをたくさんいただき、十分満足していました!しかも翌日にまったく響かない。 いうことなしです。それではまた、アビアントー! Keiko SUMINO-LEBLANCパリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者1997年からパリに移住。パリでの結婚・子育てを経てフリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。
Paris通信 Paris 2024は万丈一致の大成功!
世紀のビッグイベントParis 2024が大成功のうちに幕を閉じました。 パリオリンピック・パラリンピックは 「区別をしない1つの大会」という意図から、正式名称をParis 2024としていました。 この名称から読み取れることは、インクルージョンや持続可能性といった高い目標です。 新しくスタジアムを建設せず、「環境負担をかけないビッグイベントは可能だ」ということを示し、 そのノウハウをレガシーとして次世代に継承することを目指した、素晴らしい大会でした。 レガシー、ヘリテージというと、政治家は自分の名を残すためなのか、 あとあと使えず管理費も捻出できない建設物を造りがちです。 しかしものではなく、ノウハウを生み出すことに注力したフランスは、さすが革命の国。 その革命の象徴であるボネ・フリージャン(赤い帽子)が、 Paris 2024のマスコット「フリージ」になったことは、きっとみなさんご存知ですね。 Paris 2024の直前と開催期間中、私はパリのメディア・コンサルティンググループ 株式会社プレスイグレックを通じて、日本のメディアの現地コーディネーターを担当していました。 1つはセーヌ川を舞台にした異例の開会式のテロ対策を取り上げた報道番組、もう1つは福岡のrkb毎日放送のパリ中継。 街頭インタビューに応えるフランスの人々が、 若者も年配の方も「国家の安全対策を信頼している」 「このオリンピックは大成功だと思います!」と言い切っていた姿が心に残っています。 しかし開催までは、外国人の私ですらフランスの行方が心配だったのです! 開会式の1ヶ月前、欧州委員選挙で極右政権が勝利した時は、 これまで自分が見て暮らしていたフランスは幻だったのかと思ったほどショックでした。 自分が友達だと思っていたご近所さんが、実はみんな外国人嫌いだったというような、そんな感覚。 で、マクロン大統領はフランス国民議会解散・総選挙に踏み切り、 オリンピック開会式直前までありえないドタバタぶりだったのです。 そんな一部始終を現地で体験した1人として言えることは、「この国の人たちは逆境に強い」ということ。 分断されたかと思ったら必死の思いで団結し、その連立政党が極右に勝利したのです。 おお、フランス人やってくれた! と、心底安堵していたら、今度は開会式当日がまさかの雨。。。 やっぱり、そんなに夢みたいなことは起こらないよね、と私は萎んでしまいましたが、フランス人は諦めず一つになりました。 パフォーマンスをする側も、それを見る側も、 一致団結してあの大きなスペクタクルを盛り上げたのです。そのエナジーといったら! そもそも、コンコルド広場を競技会場にし、アレクサンドル三世橋の上に観戦席を作り、 そのために交通網をストップする、 つまり都市機能を麻痺させるという選択が、例えば日本の都市にできるか? そう考えると、フランスがどれだけ難しいことを成し遂げたかがわかります。 そのおかげで、これまで見たことのない美しい風景がいくつも誕生したわけです。 エッフェル塔を背景にしたパラリンピックのサイレントサッカー会場や、 夜空に浮かぶ聖火台を見ながら、 「こんなに美しいイメージをたくさん作ることができるフランス人は、やっぱりすごい」と感じ入ったものです。 ピンクとブルー、パープルとグリーンの、グラデーションの旗に彩られた街を歩きながら、 自分は100年後の人たちが見る風景の中にいる、と実感していました。 これから何世紀も後世に伝えられる映像・画像の中を、いま、私は歩いているのだと。 ↑サイレントサッカー競技場 ↑ポルトドヴェルサイユ見本市会場がパリ南アリーナとして使用され、バレーボールや卓球の競技が行われた ↑モンマルトルの丘の階段もParis 2024カラーに そんなParis 2024が終了し、すっかり秋のパリです。 多くを学んだParis 2024。 フランスの人々の心の中に、大切な記憶としてずっと生き続けることでしょう。 それではまた、 アビアントー! Keiko SUMINO-LEBLANC パリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者 1997年からパリに移住。パリでの結婚・子育てを経てフリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。