2020年夏、
南仏ムージャン村へ!
なんとも不思議な
2020年の夏が、早くも終わろうとしています。
通常の自由がない自重ムードの中でスタートし、
途端に猛烈に暑くなり、そしてもう9月。
世界中の誰もが、
違和感のような戸惑いを感じていることでしょう。
夏のパリ、フランス人、と言えば、やはりバカンスです。
今年は3月から5月にかけて、
約2ヶ月間の外出制限を体験したフランス国民ですが、
しっかりバカンスは楽しんでいました。
あれだけ経済危機、収入減、将来への不安を
問題にしていたのに、7月になればちゃんと休む。
こんな思考回路といいますか、行動パターンといいますか
バカンス文化のない国の人々には
なかなか理解できないかもしれません。
フランスでは人間の当然の権利として認められ、
バカンスは絶対に取った方が
いいものだという常識が定着しています。
とは言え、ごくわずかですが、
今年の夏は働くと決めたフランス人も存在します。
自営業の飲食店経営者などがそうです。
フリーランスの私にとって、バカンスは本当に贅沢なこと。
なぜならお勤め人と違って、有給休暇がないから。
休む イコール 収入が圧迫される、というわけですので
ここ数年
バカンスらしいバカンスを楽しんではいませんでした。
が、今年は私もフランスの人々にならい、旅立つことに!
たった3泊4日ですが、南仏、コートダジュールへ。
2020年、コロナウイルスに翻弄され続けている私たちは、
もしかするといつも以上に、
息抜きや気分転換を必要しているのかもしれません。
旅立つと決まったら、まずは移動手段の手配です。
パリからコートダジュールへは、飛行機、
またはフランスの新幹線T G Vでアクセスできます。
私は今回T G Vを選びました。
飛行機に比べて料金が安いことと、
狭い機内で密になることを避けるためです。
T G Vのチケットは、
出発日や時間で料金が大きく変わります。
幸い時間の自由の利く身ですので、安いタイミングを探し、
往復約150ユーロ程度でチケットを購入。
約2万円、お手頃ですよね。
電車のチケットを購入したら、次は宿です。
コートダジュールの知り合いに相談したところ、
ムージャンのル・マス・カンディーユを勧められました。
カンヌやニースのような
バカンス客が集中する海沿いを避け、
静かなムージャン村に滞在する。悪くありません。
*ル・マス・カンディーユ敷地内からのムージャン村の眺め
ムージャン村、ご存知ですか?
南仏によく見る、
小高い丘のてっぺんのオレンジ色の古い村。
ムージャン村は、コートダジュールきっての美食村として、
またピカソが晩年を過ごした村として知られています。
私がむか〜しカンヌに滞在していた頃、
ホームステイ先のマダムと外食するときは、
必ずムージャンまでドライブしていました。
ル・マス・カンディーユは、
19世紀の農家のお屋敷(ル・マス)を起源とするホテルで、
ムージャン村一番のラグジュアリーホテルなのだそう。
私の一人旅にはもったいないですが、
これもご縁と思い、2泊予約。
パリ・リヨン駅発、朝9時半のT G Vで、カンヌへ。
約5時間後、カンヌに到着します。
T G Vの車窓の風景が、フランスらしい広大な農地から、
だんだんと乾いた赤土の南仏色に変わってゆき・・・
そしてついに地中海!
ああ、やっぱり、バカンスに行く決心をしてよかった!!
カンヌの駅でレンタカーをピックアップし、
いざ、ムージャン村へ!
5、6年ぶりの運転です・・・心もとない。
南仏の小さな村は、道幅が狭く、
坂道は尋常でない急斜面なことがあるのですが、
ル・マス・カンディーユを目指しながら道を間違え、
そんな道に出くわし過酷な思いをしました。
一時は泣きそうになりながらも・・・
到着したらこの展望!!
感動しましたー!
向こうに見えるのは、香水で有名なグラース村だと、
あとでホテルの方が教えてくれました。
そしてチェックインをすませ、部屋に入り、決めたのです。
ブランドジュリエのパリ通信に、
ル・マス・カンディーユのことを書こう、と!
南仏らしいインテリアの要素が、満載なのです!
ル・マス・カンディーユはファイブスターホテル。
私が予約したのは、一番ベーシックなお部屋です。
自分の部屋の窓から、グラース村が見えます!
ローテーブルの上に、
支配人のコスマイさんが用意してくださった
ウェルカムフルーツがありました。
ミニバーの中のミネラルウォーター、
炭酸水、コカコーラは、全て無料とのこと。
パリを出発してから何も食べていなかった私は、
心置きなくフルーツを食べ、
よく冷えた炭酸水を飲みました。
ラッキーなバカンスのスタートです!
ゲストルームは、
南仏らしいオリーブ色とオレンジで整えられています。
オリーブ色がほとんどグレーに近く、
そのせいでとてもシック。
ゲストルームの入り口は、石張り。
これだけでも「玄関」という感じが演出できますね。
カーテンは、
オレンジ色の裏地とダブルになった地厚のものと、
刺繍を施した薄手の麻。
地厚のカーテンの方は遮光や断熱も完璧で、
麻の方はプライバシーを守るのに好都合でした。
気づけばもう午後6時すぎです。
7時半に予約したディナーの前に
少しでも泳ぎたかったので、急いでプールへ。
午後6時半になっても、この明るさでした。
青空の中に、小さな三日月が見えます。
広大な敷地やプールの写真は翌日撮ることにして、
とにかく泳ぎ、シャワーを浴びて着替え、
ディナーへ向かいます。
茂みからフワッフワの子猫が飛び出し、
私を誘導してくれました。
ル・マス・カンディーユが誇る
テラスにテーブルが並んでいます。
南仏の蝉時雨をB G Mに、グラース村を眺めつつ・・・
ミシュラン1つ星の、
ル・マス・カンディーユのお料理も、ご覧ください。
*アミューズ サーモンのタルタル
*ファラフェル ベジタリアン対応ですね
*プロヴァンスのロゼ
ワインリストにはオーガニックがたくさん!
*名前は忘れてしまいましたが、地中海でとれる魚の一皿
*デザートは、小さなスイーツと
コーヒーがセットになった、カフェグルマンを選びました。
南仏らしい、食材の鮮度を前に出したシンプルなお料理を、夕暮れのスペクタクルを眺めつつ堪能。
真っ暗になっても、蝉時雨は続きました。
本当に、夢のような南仏です。
*部屋からの夕暮れ
そして朝。
グラース村を眺めつつ、ムージャン村にボンジュール!
ホテルの朝食、素敵ですよね〜。
1泊目の朝、卵はシンプルに目玉焼きを注文し、
2泊目にウフ・ア・ラ・コックを注文しました。
半熟卵をエッグスタンドに立てて、
バトン状にカットしたトーストを
半熟の黄身に浸して食べる
ウフ・ア・ラ・コックが、
フランスの子供はみーんな大好きです。
我が家でも週末によく作っていましたが、
数年前にエッグスタンドを全て壊してしまって・・・
かわいいエッグスタンドを買って、
またウフ・ア・ラ・コックを作りたいなあ。
パンケーキにはハチミツをたっぷりと。
この他にも絞りたてのオレンジジュースや、
ビュッフェのフルーツなどをたっぷりと食べました。
時間に追われない優雅な朝食ほど、
女性を喜ばせるものはないかもしれませんね!
この朝食を食べるためだけに、
ホテルに泊まりたいくらいです。
さて、せっかく奮発して
ファイブスターホテルに泊まるのですから、
ホテルそのものも十分に堪能しなくては。
敷地内を歩いていたら、
チャーミングなペタンク場がありました。
ちゃんと銀のボールも準備されています。
ペタンクは南仏のスポーツ(ゲーム?)ですが、
ここ数年パリでも若者の間で流行しています。
南仏らしい糸杉や棕梠の木が美しい、
プールの風景もご覧ください。
ムージャン村の旧市街までは、
ホテルから徒歩で10分もかかりません。
やっぱり、ここを勧めてくれた
コートダジュールの友人は正しかったです!
ムージャン村の旧市街へ徒歩でアクセスでき、
カンヌのビーチまで車で30分弱のところにある、
森のように広大な敷地にたたずむ
ホスピタリティー溢れるホテル。
完璧です。
次回は家族と? 友達と?
ぜひまた戻ってきたいと思いました。
もちろんムージャン村も、可愛らしい魅力的な場所です。
迷路のような路地を散策するだけで、
真似したくなる住まいの要素があちこちに。
鎧戸の色使い、外に置いた鉢植えの組み合わせ、
玄関先に置いたベンチなど・・・
家の中に入り込む形で作ったテラス、
快適そうだなあと思いました。
外のようで外ではなく、中のようで中でもない。
この曖昧さに遊び心を感じます。そして贅沢だなあと。
ひとつびっくりしたのは、
ムージャン村の広場に出現した巨大なピカソの頭部。
うーん、なんだか、これはどうでしょうね・・・
今回3泊4日の小旅行では、
ル・マス・カンディーユに2泊し
カンヌとアンティーブへ遊びに行って、
3泊目をニースに泊まり、パリに戻りました。
短いながらも充実した一人旅でした。
9月から、フランスでは新年度が始まります。
オフィスでも学校でも、例年通りのスタートが切れるのか?
と、毎日メディアで話題に上っています。
コロナウイルスはちっとも威力が衰えず、
ワクチンの開発は予想通り時間がかかり、
以前のように移動や旅行ができる日がいつになるのかは
2020年が半分以上すぎた今でも全く見当がつきません。
もしかすると、予想以上の長丁場になるかもしれません。
今回のパリ通信が、みなさまの
バーチャル南仏旅行となりますことを願ってやみません。
それではまた、アビアントー!
ル・マス・カンディーユ
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Le Mas Candille
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Telephone: + 33 (0)4 92 28 43 43
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Keiko SUMINO-LEBLANC
パリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者
1997年からパリに移住。
パリでの結婚・子育てを経て
フリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、
フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。
keiko's paris journal <パリ通信 - KSL> パリのライフスタイルを更新中