ブランドジュリエ Paris 通信 ワイナリー・パリジェンヌ(エッフェル塔ワイン)
エッフェル塔産ワインが誕生します! by ワイナリー・パリジェンヌ 2019年11月7日、エッフェル塔の1階(日本でいう2階)で始まったワイン造りの、プレス発表会へ出かけました。 *フランスでは1階が日本の2階にあたり、日本の1階は「地上階」(表記は0階、RDCなど)になります。 パリでワイン造りと聞くだけでもレアなのに、エッフェル塔の上で醸造するというのですから驚きます。 そんなことが本当にできるの? と、実際に見てみるまでは半信半疑・・・ エッフェル塔の足もとに到着し、エレベーターの列に並び、鋼の歯車やワイヤーがむき出しのエレベーターに乗って1階へ。 1階フロアに到着すると、キラキラとまぶしい朝日をバックに、本当にタンクや樽が設置されているではありませんか! 向こうにモンパルナスタワーが見えます。 仕掛け人は、2015年創業のメゾン『ワイナリー・パリジェンヌ』の、若き共同経営者2人組。 「19世紀まで、パリとその近郊からなるイル=ド=フランス県は、フランス最大のワイン生産量を誇る地域でした」 と、共同経営者 の1人、アドリアン・ペリシエさんが説明を始めました。 右がアドリアン・ペリシエさん、左がジュリアン・バンゲさん。 「それが70年代以降、ぶどう畑も醸造所も姿を消して、現在に至ります。僕らはもう一度イル=ド=フランス県を、ワインの土地にしたいと思いました。」 とはいえパリ近郊にぶどう畑はありません。 (注:モンマルトルの丘にはありますが、それはモンマルトルのワインになるためのもの。 他のメゾンが購入することはできません) photo; SETE – Alexandre Nestora そこでフランス全土からぶどうを購入し、パリ郊外の醸造所でワイン造りをしているとのこと。ゆえに、ワイナリー・パリジェンヌのワインは、アッサンブラージュが魅力です。(単一のぶどうではなく、ブレンドして完成させるワイン) 実は私もこの夏に、ワイナリー・パリジェンヌのワインをテイスティングしたのですが、スパークリング、ロゼ、白、赤、どれもミックスカルチャーのパリを象徴する、自由な発想のワインでした。 ペリシエさんは続けます。 「パリ産のワイン造りに成功したのですから、さらにその先を目指さないわけにはいきません。パリのシンボルといえば、エッフェル塔です。エッフェル塔で醸造した、エッフェル塔産のワインを作りたい! その夢がついに実現しました。」 なんと、地産地消を実現するために、2017年にはエッフェル塔からわずか30㎞のプレーヌ・ド・ヴェルサイユに、オーガニックのぶどう畑を誕生させたのだそう。現在は10haですが、2020年には26haに増える予定だと、目を輝かせながら話してくれました。 地産地消、オーガニック、短縮流通・・・ヨーロッパではトレンドを超えて、もはや当たり前の常識になっています。今や、これらのキーワードを無視したビジネスはありえません。ファッションでも、コスメでも。 実際にエッフェル塔の上でぶどうをプレスし、ぶどう液をフィルターにかけ、タンクへ移し・・・本当に醸造しています。 そのシステムは最新鋭だと言います。 「毎朝、エッフェル塔に仕事に来るのは、なんとも感動的なものですよ。まずは機材やぶどう、全てをエレベーターに乗せることから始めます。 機材は、エッフェル塔のエレベーターのサイズに合わせて特注品しました」 と、共同経営者で醸造責任者の、ジュリアン・バンゲさん。 そうですよね、当たり前ですが、毎日ぶどうなりバケツなりを、エレベーターに乗せてここまで運ばなければなりません。タンクだってエレベーターの中に入らなければ、エッフェル塔1階まで持ってくることはできません。 でも、なぜまたこんな手間をかけてまで、エッフェル塔の上でワイン造りをするのでしょう? その答えは、ズバリ、「マーケティング」です! 「ナポレオンがシャンパンの発展に貢献したように、パリ万博を期にボルドーの格付けが確率したように、あるワインが世界的な知名度を得るためには、特別な大イベントが必要なのです。 エッフェル塔でのワイン醸造は、パリ産ワインを広く世界に発信してくれることでしょう。」 ペリシエさん、さすが元ボルドーワインの輸出エキスパート、狙い的確なことと言ったら! このエッフェル塔ワイン醸造所は、2020年3月までの期間限定です。 それまでにエッフェル塔を訪問するご予定の方は、世界にたったひとつのユニークな醸造所を、ぜひご覧になられますよう。 すぐ脇のカフェ『ラ・ビュル・パリジェンヌ』で、一休みするのもオススメです。 ティエリー・マルクスシェフによる、パンオショコラやクロワッサンで、朝食もいいですね。 ちょっとインテリアにもご注目。 前回のサロン・デュ・ショコラのリポートでも注目したグリーン使いが、ここ『ラ・ビュル・パリジェンヌ』でも見られました。 鉄の構造物・エッフェル塔に、グリーンを合わせる。インダストリアルな空間に植物をたっぷり飾ると、全体の雰囲気がパッと明るくなり、とても感じがいいですね。 また、記憶はちょっと曖昧なのですが、『ラ・ビュル・パリジェンヌ』のワイングラスはアクリル製だったと思います。このところ、パリの大規模なバーやテラスではアクリル製グラスをよく見ます。安全面の理由で採用しているところが多いようですが、デザイン製の高いものが増えていることも一因のはず。 photo; SETE – Alexandre Nestora ちなみに、「エッフェル塔に登るのは並んで大変!」と、皆さん思っていませんか? 公式サイトが一新し、混雑の状況がリアルタイムでわかるようになりました。日本語のページもあります! https://www.toureiffel.paris/jp また、エレベーターを使わずに階段で1階まで昇るのも、混雑回避をしたい方にはぴったり。約10分間、パリの景色を眺めながらの道中は、もちろんしんどいですがいい思い出になると思います。 料金は、エレベーター利用だと16,30ユーロ、階段利用だと10,20ユーロです。 あらかじめサイトからチケットを購入しておくのも、チケット売り場に並ぶ手間を省けていいですね。 私はこの日、9時30分に到着し、エレベーターの待ち時間は30分程度だったと記憶しています。 以上、エッフェル塔産ワインのリポートでした! 日本からパリ、エッフェル塔は遠くても、ブランドジュリエの店内はいつでもパリのエスプリに満ちています。 日々の暮らしを豊かにしてくれるヒントを見つけに、ブランドジュリエへ足を運びたくなりますね。 それではまた、 ア・ビアン・トー♪ Keiko SUMINO-LEBLANC パリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者 1997年からパリに移住。パリでの結婚・子育てを経て フリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。 keiko's paris journal <パリ通信 - KSL> パリのライフスタイルを更新中