ブランドジュリエ Paris通信 南仏のミモザとマーマレード
南仏のミモザとマーマレード 気づけばもう3月!すっかり暖かくなりました。 桜の開花ももうすぐ、と、東京の友人から聞きました。 私は今年の2月半ば、南仏カンヌ方面へミモザを見に行きました。 黄色くてふわふわのミモザは、日本でも人気だと思います。 ブランドジュリエのファンの皆さまの中にも、 「3月8日の国際女性デーに部屋に飾ったわ」という方がいらっしゃるかもしれません。 私は以前から、「2月のカンヌでミモザを見る」ことが夢でした。 実はもう30年も前、カンヌに語学留学した時に 「あれ全部ミモザだってよ」と教えてくれた日本人の友人の言葉を、私は信じなかったのです。 「ミモザって小さな花でしょう?あんな大木になるはずがない」と… そのくらいカンヌのミモザの木は大きく、高速道路沿いにずっと続いていました。 しかしなんとも無知で、人の話を聞かない自分であることか。反省しなければなりません。 今では、あの大木が全部ミモザだったことを知っています。 そして南仏の地中海沿いには130kmにわたって続く「ミモザ街道」と呼ばれる一帯があること、 モンドリユでは毎年2月に「ミモザ祭り」が開催されること、 タヌロンはミモザ畑で有名なこと、などなど、よく知っています。 インターネットで簡単に調べられますから。 というわけで、今年はタイミングを逃さず、2月半ばに南仏に出かけたというわけです。 ミモザは、桜のように見頃が短い花ではありませんが、やはり満開に合わせて出かけたいもの。 一応目安として、1月から3月にかけて花の時期を楽しめる、と言われています。 今回実際に現地に行って分かったのは、ミモザと一言で言ってもいろいろな種類があること。 花のふわふわ部分が大きいもの、玉のように引き締まっているもの、葉っぱが細かいもの、広めのもの、などなど。 なんでも1,000以上の品種があるそうです。そして、同じ庭にあっても開花の時期はまちまちであること。 しかも、ミモザは南仏コートダジュール原産ではなく、 1800年代に裕福な英国人がオーストラリアから持ち帰って、カンヌ付近に植えたことが始まりなのだそう。 そこからどんどんと発展した、いわば雑草・・・ ちなみに、ユーカリも同じ時期に、同じ経路で南仏コートダジュールにやってきて、 今ではこの土地の景観を作る代表的な植物になっています。 私がいつも泊めてもらっているドミニクさん宅にも、たくさんのミモザとユーカリの木があります。 この家はもともと、彼の奥様マガリさんのおばあちゃんの家でした。 マガリさんは子供の頃からこの庭を見てきたわけですが、 「私が小さかった頃、庭にミモザは1本もなかったのよ。庭全体が松の木とヒースに覆われていて、今見える花は1つもなかった。 私たちは何も植えずに、植物たちの方で勝手に生えてこうなったの」と教えてくれました。 勝手に生えたミモザの大木が、8本も! しかも、時々注意して若い芽を摘み取らないと、もっと増えてしまうそうです。 そんなに丈夫な木なら、私もパリのベランダで育ててみたいと思い、 摘み取って捨てる小さな苗木を2つマガリさんに持たせてもらいましたが・・・ 彼らは私に馴染んでくれるでしょうか。あまり自信がありません。 さて、そんなマガリさんとドミニクさん宅では、天気がいい日は冬でもテラスで食事をします。 2月半ばもこの通り、何度も外で朝食を食べました。 朝、昼、晩、寒くなければいつでも外のテーブルで。なんて贅沢な暮らしでしょう! しかも、ドミニクさんの手作りマーマレードが絶品なのです! 友人の家の庭からもいできたビターオレンジを、ドミニクさんが3日かけて仕上げます。 「マーマレード作りは、時間がない時にはやってはダメだよ」と、ドミニクさんからのアドバイスです! Dominique Fantino https://www.instagram.com/unchefalamer/ こうして写真を見ているだけでも心が満たされるよう。 そんな記憶をいつも、自分の胸の中に持っていたいですよね。 それではまた、 アビアントー! Keiko SUMINO-LEBLANC パリ在住ライター・コーディネーター 日仏語翻訳者 1997年からパリに移住。パリでの結婚・子育てを経てフリーランスライター・コーディネーターとして活躍中。食とライフスタイルを専門とするジャーナリストとして、フランス、日本の数々の雑誌・メディアに寄稿。また、翻訳家として単行本も共著。